2022/04/12 13:19

私がこの世に居ないような

フワフワした感覚の中で、
喫茶店の黄色い紙に書かれた
<アルバイト募集>のチラシを凝視した。

翌日、その喫茶店に入り、カレーを食べ、店内を見回した。
地域活動や地域の方々のチラシが置かれている。
そこに人とのつながりや優しさを感じた。
ここで働かせていただきたい、と
マスターにアルバイト募集に応募したいと声をかけた。
快く承諾してくれたことは
私を勇気付けた。
存在を否定される日々の中で
私を必要としてくれる人がいる、そう思えた。

飲食店で働くことは初めてで、
オーダーの取り方、お客様とどう接したら良いのか、
マスターとの仕事の仕方、何をどうしたら良いのか、
元々人とのコミュニケーションがうまくできない私にとって
毎日どうしたら良いのか、迷い、試行錯誤の日々だった。
でも、家でいるよりは数段楽だった。

ミスをしても、罵倒されたり、無視されたり、人格否定されることもない。
ミスしたら、うまくできなかったら、罵倒されると怯える日々の中で
一人で全部しようとして、パンパンになっていた当時。
何があっても誰かが支えてくれる、
と肌で感じることができたのは
私の心を癒してくれた。

アルバイトに行く道すがら、
近くに農民連合が主催する朝市が毎週水土とあり、
新鮮で美味しい野菜や魚、お米が買えること、
主宰される方々や来られたお客さんと話したりすることが楽しみになった。
旬のお野菜、魚、調理のしかた、世間話。
些細なことだったけれど、
アルバイト先で働く時間、朝市で過ごすわずかな時間の中、
家の外にある価値観、に触れることで
私は、
今あなたの前に
ここにいる、
と感じられた。