2022/04/12 14:15

元々要領が良くない、ので

なかなかアルバイト仕事にも慣れなかったが
心は少しづつ元気になり、活動的になっていたように思う。
そのおかげで
Facebookやインスタグラムで見ていたパン屋さんの
パン教室に通うことに決めた。
天然酵母の力を借りて作るパン。
ある特定のドライフルーツや酒粕、で酵母を起こす、のではなく
家の中にある普段食べている野菜や果物の端材から酵母を起こす。
まるのまま、命の循環を意識し命をいただく、
足るを知ることを大切にしている店主さん。
存在がフワフワしていた私にとって、
地に根ざした考え方や調理方法が興味深かった。

パンを作ったり、お菓子を作ったり、
昔からしていたけれど、
学び、作っていくことで
自分の作ったものを人に食べて欲しい。
元気になって欲しい。
自分の中で、<作る>エネルギーを外に向ける時が来ていた。

パン教室の先生にも相談しながら
アルバイト先のマスターや朝市の主催者さんにお願いし
お菓子を売らせてもらえる機会をいただいた。

毎週金曜日に仕込み、土曜朝に朝市に出かけ、人と関わり、話す。
私はバラバラになっていた自分の心の<形>を再構成していくようだった。

そして、朝市の主催する方々の仕事ぶりが
当時の私にとっては心揺さぶられるものだった。
人と関わり、自分自身が楽しむ。
見返りを求めることのない、
良い意味の
<やりっぱなしの優しさ>が
朝市を訪れる人々を和ませ、心地よい空間にしていた。
作ったお菓子やパンは今振り返ると
おそろしく不出来であったが、
お客様とコミュニケーションを取りながら
毎週改善できるように、と切磋琢磨した。
この場所にいられることが
私にとって、支えであった。

そんな中で、コロナ禍が始まった。